朔 伊作1)、内山 英司2)、深井 厚2)、後藤 秀隆2)、山口 玲3)
1)自治医科大学さいたま医療センター整形外科
2)関東労災病院スポーツ整形外科
3)都立広尾病院整形外科
症例は 21 歳日本女子代表バスケットボール選手。練習中に右足関節内反位となり長腓骨筋腱新 鮮断裂を断裂した。足関節外側靭帯不全もなくステロイド注射の既往もない。ただし足関節の 形態が7度内反位であり腓骨筋腱に恒常的な過負荷が考えられた。
アスリートによる長腓骨筋腱の皮下完全断裂の報告は極めて稀である。一次修復でも治癒可 能との報告もあるが、多くは修復が困難であることから腱移行の報告が多い。ただし腱移行は アスリートにとってパフォーマンスの低下を引き起こすことが危惧される。また単なる縫合で は十分な治癒が期待できないと考えられる。本症例はスポーツレベルが高いことや、足関節 内反位であることなどから、強固な固定が必要であり、また再断裂の危険性を回避すること が重要と思われた。そこで、陳旧性アキレス腱断裂に対し当科で行っている手術方法である Reversed-Free-Tendon-Flap 法を適応した。その結果8か月で所属チーム練習に復帰し1年6 か月後には完全復帰を果たしたので報告する。